I-5.株式の資本異動とリターン
私の授業では、原則として毎回の最初に株式学習ゲームの途中経過を確認します。チーム順位表でそれぞれの元手の1千万円がいくらになっているかを見ると、1位から最下位まで差が開いていることが分かります。短期の結果に一喜一憂することは無駄だとはコメントしますが、株価がどの程度変化するものかを実感しておくことは大事です。
第5回目の講義のテーマは「リターン」。通常は、ある期間の期首の資産額に対して期間中に得られる収益の比率をいいます。株式投資の場合は「株価の値上り・値下がり」がリターンの中で大きな割合を占めるので、まず値上り率・値下がり率の計算から始めます。株式学習ゲームで自分が購入した株式の値上り率・値下がり率を実際に計算してみる演習をさせます。
株式のリターンを構成するのは、株価の値上り・値下がりだけではありません。配当が支払われた時、それは株主にとっての収益ですから、当然にリターンに入れて計算しなければなりません。しかしこれが一筋縄では行かないのです。ここでは、配当権利落ちと呼ばれる現象、配当情報の調べ方、配当権利落ちがある時のリターンの計算方法について教えます。株式学習ゲームの副教材として会社四季報の抜き刷りを掲載した「売買企業一覧」を全員に配っているので、そこから配当情報を読み込ませます。会社四季報の見方が丁寧に解説されているサイトに「金融リテラシー.COM」からアクセスさせ、四季報の配当欄の読み方を調べさせます。配当権利落ちがある時のリターンについては、計算問題でロジックを確認させます。
講義の後半は、会社の資本異動と株価の関係です。増資、合併、株式分割など、現実の会社は様々な資本政策を実行しています。資本異動は会社が発行している株式数を変化させ、株価にも影響を及ぼすので、株主がそれに無関心でいることはできません。ここでも、スマホから前述のサイトにアクセスさせ、会社四季報掲載情報の読み方を調べさせます。その後に、計算例を示しながら、資本異動が理論的に株価にどのような変化をもたらすかを教えます
https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/07/Equity_Investment_Theory_5.pdf
金融リテラシーが身に付く投資学習ナビ「金融リテラシー.COM」へ戻る