II-6.外国株式投資(1) (外国株式のリターンとリスク)
今回の講義も「株式学習ゲーム」の状況を確認するところから始めました。日本経済新聞に「景気敏感株の下げ目立つ」という記事がありましたので、紹介しました。確かに「株式学習ゲーム」のほうでも「景気敏感株投資戦略」を選択した者の下げが大きい状況でしたが、それ以上に「成長株投資戦略」の下げが目立っていました。「成長株投資」は割高な銘柄に手を出しやすい傾向にありますが、それが災いしたのかもしれません。
さて、今回から「外国株式投資」について話します。日本に居ながらも外国株式への投資が簡単な時代ですから、「日本株式に投資」するにはそれなり意味がなければなりません。
米国に圧倒的な差をつけられてはいますが、日本の株式市場は世界第2位の規模の株式市場とされています。とは言っても、世界の株式市場に占める割合は10%にも満たないのが現実です。しかもOECDなどによる長期の経済成長予測では、日本はかなり下位に位置します。そうした状況にも関わらず、日本の企業年金などは、世界の株式市場における日本の割合よりも大きな割合で日本株式に投資しています。「ホーム・カントリー・バイアス」と言われる現象です。
外国株式投資」を躊躇させる原因の一つが「為替リスク」です。ある国の株式にその国内で投資する場合と比較して、その国外から投資する場合には、為替の変動の不確実性に伴う「為替リスク」が上乗せされます。しかし、経済成長の高い外国の株式に投資するのを諦めさせるほど、「為替リスク」は大きなものでしょうか?
外国株式も為替も、多くの国に分散して投資することで、そのリスクの軽減を図ることができます。そうしたことも踏まえて、外国株式投資の意味を考える必要があります。
講義の前半でマクロ的に外国株式投資を考えた後は、ミクロの視点でそのメカニズムを学びます。外国株式に投資した場合の収益率の計算に「為替レート」がどのように関係して来るかを、実際に手を動かして計算してもらいます。演習としての宿題も出します。
https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/12/Equity_Investment_Theory_II_6.pdf