II-4. CAPMとファクター・モデル

後期第5回目の講義は「株式学習ゲーム」から始めます。
株式学習ゲームの注文入力期間とした10月9日(火)から12日(金)の間に市場が比較的大きく動きました。入力日によってパフォーマンスが大きく異なってしまうのは本意ではないので、評価開始日を10月12日と定めました。
12日の日経新聞の朝刊に「景気敏感株」「成長銘柄」という言葉が見られました。今期の株式学習ゲームの課題である投資戦略にも、また講義の主要テーマの一つであるファクターモデルにも関係しますので、その記事を紹介しました。
ここ数日の日本株式の下落の要因に、米国FRBによる「米国政策金利の利上げ」の影響が挙げられています。株式学習ゲームは、そうした経済事象が株価に与える影響を体験し、そのメカニズムを考察する機会とすることに意味があります。折角の機会ですので、時間を与え、学生に考えさせることとしました。

さて、本題の講義です。
資本資産評価モデル(CAPM)は株式投資に多くの示唆を与えてくれます。個別銘柄やポートフォリオの最も重要な株価形成要因を「市場ポートフォリオのリターン」と喝破したこともその一つです。実は、これについては、CAPMの生みの親であるシャープ博士が「ポートフォリオ分析のための簡易モデル」という論文で指摘し、後にそれを市場均衡モデルであるCAPMにまで発展させたという歴史があります。
何故「市場ポートフォリオのリターン」が最も重要な株価形成要因であるのか? 後期から私の授業に参加した学生もいるので、CAPMの要約を「ファクター・モデル」の講義の導入部とします。

株式投資を科学的に解析する上では、株式のリターンやリスクを形成する要因の把握とその挙動の分析が欠かせません。「ファクター・モデル」は、それらを最も直截に表現する手法です。
例によって「体質」「刺激」「反応」の関係から話を始め、「ファクター・モデル」の基本的な構造を説明します。
より現実的な「マルチファクター・モデル」の議論は次回とし、今回は「シングル・ファクター・モデル」までを説明します。ファクターを一つしか使えないとしたら、それは「市場ポートフォリオのリターン」以外にあり得ません。

https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/12/Equity_Investment_Theory_II_4.pdf

 

 

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