II-8.外国株式投資(3) (為替リスクとヘッジ)

「外国株式投資」の第3回目の授業は「為替リスクとそのヘッジ」について論じます。
冒頭で、日本よりも大幅に金利が高い「トルコ・リラ」への投資が如何に危険であったかを、つい最近の「トルコ・リラ」の大幅な下落を例に説明します。トルコの証券に投資していた投資信託は軒並み基準価額を下げました。

さて、今回の講義のハイライトは「為替リスクのヘッジ」です。外国証券に投資する投資信託の中には「為替リスクのヘッジ」の「あり」「なし」で分けて、商品を複数設定している例が珍しくありません。
リスクとリターンには表裏一体の関係があるので、リスクを低減した際に期待リターンに影響が及ばないことはあり得ません。「為替リスクのヘッジは、内外の金利差分の期待リターンを犠牲にする」、このメカニズムを理解することが外国株式投資論の胆です。
「ポートフォリオ理論」の講義の時にも述べましたが、投資家にはそれぞれの「リスク選好」があって、リスクに前向きの人もいれば、後ろ向きの人もいます。「為替リスクのヘッジ」も同様です。ヘッジは「0%」か「100%」に限ったわけではないので、投資家それぞれに「為替リスクの最適なヘッジ比率」が存在します。
また、外国株式投資では複数の国の株式に分散して投資するのが通常ですから、どの通貨をどの程度ヘッジするかを考えると、千差万別のヘッジ戦略があり得ます。国内株投資に比べて、外国株投資はいくらでも複雑な投資戦略を採ることが可能です。

この回の講義の後半は「株式学習ゲーム」です。日本経済新聞に「株式のファクター投資」や「内需株」の記事がありましたので、学生に紹介しました。
先週から「担当した投資戦略に囚われず、自分が良いと思う投資戦略を選ぶ」自由を与えました。大学の講義という制約上、短期の投資しか経験させられませんが、与えられた条件の中でベストな投資方法を選択することを経験させるのも投資教育の一つと考えます。

 https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/12/Equity_Investment_Theory_II_8.pdf

 



 

 

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