I-9.株式市場の効率性

経済学部の学生なら「完全競争市場」という言葉を知っているはずです。ところが、「この言葉が株式投資ではどういう意味を持つのか?」を最初から想像できる学生はほとんどいません。はたして株式市場は投資家が自身の持つ情報と判断力で傑出した儲けを生み出せるところなのでしょうか? 今回の講義では、株式市場が完全競争的な効率性を持つか、それとも非効率な市場なのかを巡る議論を紹介します。
まず前段は、理論的・実証的な研究が進み、公表された情報とそれを基にした判断では株式市場で傑出した儲けを生み出すことはできないとの論調が注目を浴びた1960年代頃までの議論の流れです。

1970年代以降になると、様々な実証研究から、株式市場が完全競争的な効率性を持っていれば発生しないであろう事象がいくつも発見されます。アノマリー、平均回帰、行動ファイナンスなどをキーワードとしたそれらの事象は、常人が陥る非合理的な株式投資を指摘するものですが、それらを克服して合理的な投資をすることが難しいからこそ、そうした事象が放置されているのが現状です。

第9回目の授業の最後は演習と宿題です。各自のスマホから指定するサイトにアクセスし、該当する情報を見つけ出して、ワークシートに答えを書き込む作業をさせます。講師の言葉を記憶するよりも、必要に応じて自分で適切な情報を探し出せる力を養うほうが、変化の激しい現代に求められる素養と思っています。

https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/08/Equity_Investment_Theory_9.pdf

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