I-7.キャッシュの出入りがある場合のパフォーマンス
第7回目の講義の冒頭は、株式学習ゲームにおける各自のこれまでの順位の変化の確認です。短期的に如何に順位が変化するかが分かります。これまでの約1か月間に経済・政治などでどのような動きがあったかを、口頭でコメントします。「そういう反応が起こると想像していたか?」とみんなに聞くと、もちろん首を振ります。普通の投資家にとって経済・政治の動きなどにつられて株式市場が短期的にどう反応するかはほとんど想像外の出来事です。新聞などを見ても後講釈しか出ていません。そうした株価の動きに一喜一憂することのむなしさを諭し、世の中の大きなトレンドに目を向けることの大切さを伝えます。
今回の講義の本題は「キャッシュの出入りのある場合のパフォーマンス」です。ポートフォリオにキャッシュの出入りのある典型的な例が「投資信託」です。投資家がある投資信託商品を購入すると対象のファンドにお金が入り、投資家がその投資信託商品を売却すると対象のファンドからお金が出て行きます。ちなみに投資信託の立場から見た言葉で、投資家による購入を「追加設定」、売却を「解約」といいます。投資家からお金が入ってファンドの評価額が増えるのは、ファンドの投資成績とは言えません。ではファンドの投資成績はどのように知ればよいのでしょうか?
ここでは、まず「投資信託の仕組み」を教えます。毎年のことですが、「投資信託」のことをほとんど知らない学生が大半です。「投資信託協会」のサイトが、その仕組みの勉強に最適です。例によって、学生にスマホからアクセスさせます。
さて、今回の講義のメインです。内容は「投資信託の基準価額の計算」、「時価加重収益率の計算」、「内部収益率の計算」です。学生にとっては、数学の講義を受けているようなもので、文系学科である経済学科や経営学科の学生の好きな講義とは言えません。いつものように、数式の出てくる箇所では穴埋めや計算問題を交えて、自分の手を動かすようにさせます。この講座は「株式投資の入門から専門実務まで」と宣言していますので、この程度の専門実務は教えない訳にいきません。
https://kinyu-literacy.com/wp-content/uploads/2018/08/Equity_Investment_Theory_7.pdf